12AX7などの双三極管を使う場合、二つのユニットの特性のばらつきが気になります。差動増幅器のような特性一致が前提の回路ではもちろんですが、二つのユニットをステレオの左右チャネルに振り分けて使う場合などあまり大きく特性が異なっていると左右の音量差になってしまいます。

 

そこで、自分の手持ちの 12AX7がどの程度特性が揃っているのかを調べてみました。現用のアンプに刺さっているのを除いた補欠球ばかりなので、かなり悪い物も含まれています。

 

測定は下記の回路で直流バランスと交流バランスを測定します。

 

(1) 直流バランス

下図の回路で、電源に 257.1V、グリッドバイアスとして -1.5V、プレート負荷抵抗に 270KΩをつけ、プレート電圧Ep1、Ep2(VDC)を比較します。

 

(2) 交流バランス

この回路のまま、グリッドに 100mVの 1KHz交流信号を入れ、プレート側に増幅された信号を ep1、ep2(Vrms)とし、比較します。

 

(3) ノイズバランス

入力を無信号として、プレート側に出ているノイズ電圧Np1、Np2(mVrms)を測定します。

 

 

結果

30本の 12AX7に付いて測定してみました。結果は下記の表のようになります。

メーカー Ep1(V) Ep2(V) Np1(mVrms) Np2(mVrms) ep1(Vrms) ep2(Vrms)
1 マツダ 138.7 146.4 10 9.7 7 6.6
2 NEC 150.5 153.2 8.3 8.3 6.5 6.4
3 NEC 153.5 153.8 8.5 8.1 6.457 6.497
4 Matsushita 160.5 160.6 10.7 11 6.351 6.462
5 Matsushita 145.7 144 9 9.5 6.207 6.2
6 Matsushita 154.4 154.8 9.2 9 6.266 6.174
7 Matsushita 155.6 153.9 7.7 7.4 6.212 6.237
8 TEN 157.7 156.6 2 2.2 6.702 6.756
9 TEN 143.1 143.7 10.7 9.2 6.291 6.378
10 TEN 144.2 143.5 10.2 10 6.171 6.211
11 TEN 147.5 149.1 9 9.3 6.367 6.311
12 TEN 155.8 161.6 9.1 9.1 6.356 6.338
13 TEN 149.5 145.5 9.2 9.2 6.206 6.296
14 TEN 146.4 147.5 9.8 9.4 6.47 6.311
15 Hitach 158.6 157.1 8.7 8.9 6.192 6.334
16 Hitach 162.9 160.5 9.5 8.8 6.487 6.265
17 Hitach 158.8 169.1 10.1 9.9 6.758 6.663
18 Hitach 161.4 150.3 9 9.1 6.244 6.218
19 Hitach 162.1 164.4 9.1 8.9 6.16 6.298
20 Hitach 158.9 156.9 9.1 9.5 6.329 6.445
21 Hitach 150.1 153.1 10.1 10.1 6.804 6.841
22 Hitach 164 160.9 9.6 10.2 6.262 6.224
23 Hitach 166.8 160 8.9 8.5 6.172 5.918
24 Hitach 164.9 168.3 10.4 10.7 6.443 6.464
25 Hitach 157.3 154.6 9.1 9 6.36 6.181
26 Hitach 155.2 168.1 13.7 12.6 5.9 6.225
27 Hitach 162.6 164.3 9.3 9.2 6.337 6.394
28 Hitach 155.1 158.3 9.3 9.5 6.514 6.559
29 Hitach 147.3 160.8 7.6 8.8 5.462 5.845
30 Hitach 158.1 171.2 9.5 9.1 6.615 6.397

 これだと数値だけで分かりにくいので、直流バランスと交流バランスについて二つのユニットの比を算出してグラフ化してみました。

 

DC相対誤差 : ABS(1-Ep1/Ep2) x 100(%)

AC相対誤差 : ABS(1-ep1/ep2) x 100(%)

 無題1.jpg

アンバランスが大きい物は 7~8(%)もずれていることが分かります。

 

さらに、DC相対誤差を横軸に、AC相対誤差を縦軸に取った散布図を書いてみました。

  無題3.jpg なんとなくAC誤差が大きい物はDC誤差が大きいような相関があるようにも思えますが、逆は言えないようです。どちらも 3%位の誤差(青線内)を見込んでおけば、半分以上の球は使えそうです。

 

 ノイズ電圧に関しても Np1と Np2 の相関をグラフにしてみました。

 無題4.jpg

 これは確実に相関があります。右肩上がりの直線上に乗っていることが分かります。

ちなみに左下に一個だけノイズの少ないサンプルがありますが、TENの測定器用と印刷されたものです。これは1本しか持っていないのですが、貴重な球です。アンプに挿しても大幅にノイズが下がるのが測定できます。